世界のアッチから

馴染みのないところから色々見てみよう、というブログ。かっこよく言うとfrom the other side。

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タイ#ハジャイ "はじめてのキンタママッサージ"


タイには、タイマッサージがある。
これは、日本でもすっかり有名になった。
東京には、あっちこっちにタイマッサージ屋がある。

そして、タイマッサージには、キンタママッサージがある。
これも、そこそこ有名になったと思う。
本やネットには、あっちこっちに情報がある。

しかし、有名なことと普及していることとは別だ。
俺の日本での友人知人暇人変人からも、経験したという話は聞かない。
これまで4度訪タイしてる俺も、まだ経験していなかった。

先日、マレーシアからタイに入った。
ペナン島で買った地図以外、ガイドブックなどの旅行情報はない。
そして、たとえ情報があっても意味のなさそうな、なにもない街ハジャイにやってきた。

ハジャイの市場
ハジャイのありふれた市場。
味のあるおばちゃんが映り込んでるけど、タイではフツー。

とはいえ、名物くらいはあるだろうと、
ネットでハジャイについて調べてみると、
どうやら、この街ではキンタママッサージが盛んらしい。

いがぐり頭

キンタママッサージ。
英語で言うと、マッサーピンポン(英語か?)

一応、知らない人のために説明しよう。
キンタママッサージとは、読んで字の如く、睾丸を揉みほぐすことだ。
効能は、よくわかんないけど、男性機能活性とか、そんなもんでしょう。
マッサージ師は女性で、客は当然男性なわけだが、性風俗の類ではない。
あくまでもタイ古式マッサージの正統メニューだ、と思う。
その伝統文化を体験しよう、という趣旨だ。

さて。
いくつかのブログを参考に、良さげな店がある地区へ下見に出掛けたわけだが、
普通のマッサージ屋が多過ぎて、どれがどれだか判別できない。
看板やウィンドウには、OIL MASSAGEとか脚底按摩とか書かれてるけど、
キンタマらしき表記は見当たらない。

腹もすいていたので、一時中断。
屋台の汁そばをすする。
すると、相席していたニイチャンが、
突然ポケットから錠剤を出して見せてきた。
「なにこれ?睡眠薬?」
「ノー。インド製のバイアグラだよ。」
あっという間に話は下ネタで盛り上がり、タママッサーについて尋ねると、
技術も値段も確かだという店を紹介してくれた。
また、タママッサーをするなら30歳以上のマッサージ師がよい、
20代は技術がないのでスペシャルマッサージ(ヌキ)で誤魔化す、とも教えてくれた。

灯りとリョウ

2分で意気投合したリョウ(37)。
中華料理屋で働くかたわら、
マレーシアやシンガポールから遊びに来るお父さん方にバイアグラを売りつけ、
その売上でガンジャを吸いまくってる因果な男。


翌日、まだ明るいうちに教えてもらった店へと向かった。

中南古方按摩院
繁華街の路地裏のホテルの2階、という完璧すぎる立地。

ガラス張りの扉を押し開けると、
壁際の長椅子にずらっとマッサージ師が座っていて、一斉に視線が俺に集中する。
それを見ないようにして、受付のおばちゃんに
「マッサーピンポン、プリーズ」と伝えると、
ボディマッサージ1時間300バーツ、ピンポン200バーツ、計500バーツとのこと(多分ボラれてる)。

階段を昇ると、廊下に沿ってマッサージルームの入り口が並んでいる。
入り口にドアはなく、長方形に切り取られた穴をカーテンが覆っている。
カーテンの前で靴を脱いで入室するのだが、ほかに靴の置かれた部屋は見えない。
どうやら、客は今、俺だけらしい。
中に入ると、マッサージルームは意外に広く、
10畳ほどの清潔なフローリングにマットが4つ並んでいる。
壁掛けのクーラーと部屋の隅のブラウン管テレビ以外には、
なんの家具もない殺風景な空間をほの暗い暖色の照明が助けていた。
なんだかマンヘルみたいだな、と思った。

いやいや!
風俗じゃないんだってば!
裏フーゾク潜入ルポみたいな書き方はやめよう。

さて。
案内のおばちゃんはバスタオルとタイパンツを手渡し、
着替えるよう指示するとさっさと部屋から出ていった。
実はタイパンツすら初めてな俺が着替えに手間取っていると、
再び入室してきてサッと腰の余り部分を結んで固定してくれた。

「ありがとう」と照れながら顔を上げると、
先程とは別の女性が目の前に立っていた。

年の頃は40前後。
長い黒髪を後ろでひとつにまとめ、豊満というよりもふくよかな肉体を、
ユニフォームであるポロシャツとストレッチパンツで隠している。
地味ながら均整のとれた目鼻立ち、白くハリのある肌は、
彼女のこれまでの人生が平凡な幸せで彩られていることを連想させた。

違う!
これじゃ官能小説だ。
「塾女専科~主婦のイケないアルバイト」なんてタイトルが似合う。
大宮駅新幹線ホームのキオスクで販売したいね。
売る自信があります!

はい。

つまり、
どこにでもいるフッツーのおばさんがマッサージ師として登場したわけ。
これは技術的に期待できる感じだけど、
若いマッサージ嬢じゃなくて、
ほっとしたような、がっかりしたような。

まずはうつ伏せになって、お馴染みのタイマッサージ。
背中や腰、脚を揉んだリ、両足を絡めてパロスペシャルみたいなアレとか。

姿勢を仰向けに変え、ボディマッサージが続く。
ここで気が付いたんだが、おばちゃんの顔はさっきからずっと横を向いている。
音楽ばかり大仰な安いテレビドラマに見入りながら、
洗濯物でも畳むような手付きで俺の身体を折り曲げる。
いい加減だなー。
ま、気持ちいいから構わないけど。

1時間といいつつ、45分程で終わってしまうのは、
タイマッサージとテレビドラマの共通定理。
テレビ画面がニュース番組に切り替わって間もなく、
おばちゃんの口からピンポン開始が告げられた。

バスタオルで隠しながら、施術衣とパンツを脱ぎ捨てる。
おばちゃんの指図の下、仰向けになり、脚を開く。
俺の両脚の間に座ったおばちゃんが、
準備していたプラスチックの籠から小さなボトルを取り出す。
マッサージオイルだ。
オイルを左手の平に垂らす。
同時に右手が伸びてきて、俺のTシャツをめくり上げる。
オイルの冷たい感触と共に、ググッと腹部が圧迫される。

「え?お腹?」
「そう。お腹を揉んだあとにピンポンやるといいのよぉ。」
あ、そうですか。

なんだか、拍子抜けだ。

ネコのワン
今回は写真がほとんどないので、イメージでお伝えします。
仰向け、お股おっ広げの様子を再現してくれたのは、コピーDVD屋の看板猫、ワン。
…ふざけた名前つけやがって。

お腹というよりも、胃腸そのものを刺激するように、
ときに力強く、ときに優しく揉み上げていく。
大腸に沿って「の」の字を描くように揉んだりして、
こりゃ便通に良さそうだわい、などと考えていたら突然タマ袋にオイルが塗られた。

来た。

そう自覚したとき、
オイルはすでにタマ、棒、辺縁部、蟻の戸渡りにまで塗られていた。

ゴリッ。ゴリリリリリ…。
指の腹で絶妙な圧力を加えつつ、左右のタマを交互に引っぱっていく。

むぐっ。うぎぎぎぎぎ…。
痛いような、苦しいような、気持ちいいような複雑な感覚に、
食いしばった歯の奥から声が漏れる。

何度も、何往復も、タマは行ったり来たりを繰り返す。
この様子を無理矢理なにかに喩えるなら、運動会の大玉転がしだ。
澄み渡った秋空の下、金玉第二小学校の児童は、
赤組白組に分かれて二つの大玉を転がしていく。
赤勝て、白勝て、エイエイオー!
今こそ放課後の練習の成果を見せるとき。
みんなの手から手へ、大玉は淀みなく転がっていく。
ゴロロロロロ…。

競技種目は、もちろん大玉転がしだけじゃない。
リレーの選手たちがリンパ線トラックをグルグル駆け回る。
凸凹戸渡りコースを、親御さん方(親指)が力づくで押し通る障害物競争。
そして、またも大玉転がし。
赤勝て!白勝て!
繰り返し、リレー、障害物競争、大玉転がし、リレー、棒倒し。

え!
棒倒し!?

運動会が盛り上がるにつれ、いつの間にか校庭の中央では、
天高く突き立つ棒が用意されていた。
そこに5人の選手がしがみつき、上へ下への大騒動。
棒の先端を捕らえ、揺さぶりにくる者もいる。
上へ、下へ、アップ、ダウン、アップ、ダウン、アップ。

「ノーノーノー!そっちはいいからっ!」
「うーん(笑) オーケーイ。」

再びおばちゃんの指がタマを転がす。

あぶねー。
危うく気持ち良くなっちゃうとこだったぜ。

言い訳させてもらうけど、
勃っちゃったのは、別に興奮したからじゃない。
股間への物理的な刺激に対する生理反応だ。
なにが悪いかと言えば、俺の身体の若さと健康が悪い。

実際、俺自身もすでにこの状況に慣れつつあり、
頭はおばちゃんと同じ方向、テレビ画面に向かっていた。
「これ、チェンマイ。洪水なのよー。」
「えー、大変なことになってるねー。」
などと、のどかに世間話を交わすまでになっていた。

薄暗い部屋に、アナウンサーの早口が静かに響く。
早口のタイ語って、漫談みたいだ。
上半身はすっかり冷静になっていた。

しかし下半身では、
玉二小の校庭が益々盛り上がりを見せていた。

何度目かわからないほど繰り返された大玉転がしは終盤を迎え、
ゴロゴロゴロゴロゴロッ!と玉は熱く強く疾駆していた。
フレッフレッ赤組!
フレッフレッ白組!

もう、おばちゃんが頼もしい応援団長に見えてくる。

赤っ!ゴリゴリゴリッ、ワー!
白っ!グリグリグリッ、ワー!

競技っ終了!
赤組、白組、引き分けです!
ワー!パチパチパチッ…。

終わった。

最初は怖かったけど、
やってみたらフツーに気持ちよかったな。

ほっと息をつく俺を見下ろして、しかし、団長は言った。

「フィニッシュ、する?」




この先は、
言わぬがナハ。

ハジャイの橙の花
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